慶應義塾大学医学部医化学教室の加部泰明准教授と末松誠客員教授らのグループは、東京医科大学の半田宏特任教授らとともに、独自の薬剤受容体探索技術を駆使することにより、セサミン代謝物の標的となる受容体タンパク質の同定に成功し、セサミンの抗炎症に関わる分子的な作用メカニズムを世界に先駆けて解明しました。
ゴマの有効成分であるセサミンは、健康維持・増進を目的として古くから用いられています。セサミンは、摂取されると肝臓で代謝されて、活性成分に変換されて効果を発揮すると考えられていますが、その詳細な作用メカニズムについては分かっていませんでした。
本研究では、①セサミン代謝物SC1が、アネキシンA1(以下、ANX A1)分子の活性制御領域に結合すること、また、それにより②ANX A1の抗炎症活性に関わる部位が活性型に変換されること、③活性型ANX A1が免疫細胞で炎症物質の発現を抑制し、それにより過剰な炎症誘導が抑制されることを世界で初めて明らかにしました。また、急性肝炎モデルを用いた解析において、セサミンはANX A1依存的に抗炎症効果および肝保護効果を示すことを明らかにしました。
これらの成果は、セサミン摂取による抗炎症作用に関する分子的な作用標的および機能を明らかにした初めての知見であり、セサミンを利用した健康増進や医薬への応用など新たな応用展開に貢献できる成果です。
本研究成果は、2020年2月20日(英国時間)に学術誌『npj Science of Food』のオンライン速報版で公開されました。
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