ポイント
半導体の微細化に伴う銅(Cu)配線の抵抗率上昇(サイズ効果)は、1nmノード以降の高速・低消費電力化を阻む最大のボトルネックである。
ルテニウム(Ru)配線の高配向化、ニッケル(Ni)配線の酸化抑制、異方性伝導体CoSn単結晶薄膜、擬一次元導体PtCoO2の粒界散乱の原子論的モデル化、という4つの多面的アプローチを開発し、次世代配線材料の有望性を実証・予測した。
材料・プロセス・計算を横断する統合的な研究基盤により、Cu配線の限界を突破する次世代BEOL配線技術の道筋を示した。
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の 次世代エッジAI半導体研究開発事業において、慶應義塾大学理工学部の多田宗弘教授、田中貴久准教授らのグループ、および国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)の中谷友也主幹研究員らのグループは、次世代半導体における配線材料に関する4件の新技術・新知見を開発しました。
従来、半導体集積回路の配線には銅(Cu)が用いられています。しかし、配線寸法が電子の平均自由行程(約39nm)に近づくと、電子散乱により抵抗率が急上昇するサイズ効果が顕在化し、1nmノードおよびその先の世代の性能向上を阻む最大のボトルネックとなっていました。
本研究グループは、(1) Ru配線の極薄Taライナーによる高配向化、(2) Ni配線の極薄Alキャップによる酸化抑制、(3) 異方性伝導体であるカゴメ金属CoSnの単結晶薄膜の成長、(4) 擬一次元導体PtCoO2の粒界散乱の密度汎関数強束縛法による原子論的モデル化、という4つの多面的アプローチを行い、いずれもCu配線の限界を突破する高いポテンシャルを有することを明らかにしました。
本成果は、1nm世代以降の半導体集積回路における配線抵抗の大幅な低減と、それに伴う高速動作・低消費電力化への貢献が期待されます。
本研究成果は、2026年6月1日から4日(現地時間)に米国・サンノゼで開催される半導体配線技術の国際会議「IEEE International Interconnect Technology Conference 2026(IITC2026)」において発表されます。
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