慶應義塾

シェーグレン病における「自己免疫の悪循環」の仕組みを解明

-病気を引き起こす自己免疫のみを標的とした治療の実現に道-

公開日:2026.06.04
広報室

慶應義塾大学医学部

慶應義塾大学医学部内科学教室(リウマチ・膠原病)の竹下勝専任講師、金子祐子教授、JSR株式会社の和久井世紀研究員らは、慶應義塾大学とJSR株式会社の共同研究であるJKiC次世代プロジェクトにて、自己免疫疾患であるシェーグレン病において免疫細胞が相互作用により自己に対する免疫応答を維持する悪循環の仕組みを明らかにしました。

本研究では、シェーグレン病の病変である唾液腺組織に浸潤した免疫細胞のうち、免疫反応の司令塔であるCD4陽性T細胞が体内のどの成分を標的としているのかを調べました。1つ1つの細胞の遺伝子や機能を詳しく調べるシングルセル解析と、T細胞が反応する抗原を調べるT細胞レポーター解析を組み合わせ、個々のT細胞が認識する分子を解析したところ、Ro60と呼ばれるタンパク質に反応するCD4陽性T細胞が病変に存在することがわかりました。さらに、それらの多くが、B細胞による抗体産生を助けるTfh/Tph細胞と呼ばれるタイプのT細胞であることが明らかになりました。

本研究グループはこれまでに、シェーグレン病の病変部位に浸潤したB細胞がRo60タンパク質に対する抗体を作っていることも報告しています。これらの結果を合わせると、CD4陽性T細胞とB細胞が互いに働きかけながらRo60に対する免疫反応を増幅する、いわば「自己免疫の悪循環」を起こしていることが示されました。

この成果は、シェーグレン病をはじめとする自己免疫疾患の原因解明につながるだけでなく、この病的な悪循環を断ち切ることで病気を引き起こす自己免疫反応のみを選択的に抑える新しい治療法の開発に大きく貢献するものです。

本研究成果は2026年6月3日(米国東部時間)に、米国科学誌 Science Advances に掲載されました。

プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。

プレスリリース(PDF)