慶應義塾大学
慶應義塾大学薬学部の熊谷直哉教授らの研究グループは、アニリド「A」とキノリン「Q」を組み合わせた新しい折りたたみ分子、「芳香族オリゴアミドフォルダマー」を設計・合成し、分子の長さや環境に応じた多様な三次元構造を実現できることを明らかにしました。
人工分子の創成において、タンパク質が規則正しい折りたたみによって機能を発揮するように、人工のオリゴマー分子が一定の規則に沿って折りたたまれる「フォルダマー」が注目されています。本研究では、キノリンの8位に平面性と方向を制御可能な水素結合を呈するアミド結合を導入することで、従来とは異なる折りたたみパターンを可能にしました。A/Qを環状に連結させた分子では、環状分子全体のサイズに応じて対称構造、部分らせん構造、内部空間をもつ立方体状構造が現れ、特に六量体 A6Q6 は、溶液中で環境因子に応じた二つの構造状態を行き来する「変わり身可能」な性質を示しました。さらに、A/Qを鎖状に連結させた分子は安定ならせん構造を形成し、高度に制御された小さな内部空間をつくることがわかりました。
本成果は、分子認識やホスト-ゲスト化学、機能性分子材料の設計につながる、プレプログラム可能な構造状態の明確化と状況に応じた構造変化を実現する人工分子骨格を提示するものです。本研究成果は、2026年5月29日(米国東部時間)に国際学術誌『JACS Au』オンライン版に掲載されました。
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