慶應義塾

自動運転を脅かす「ゴースト」を世界最大規模のデータセットで根絶へ

-全波形LiDARによるゴースト除去で、SLAM誤差と物体誤検知を大幅低減-

公開日:2026.05.29
広報室

慶應義塾大学

自動運転や産業ロボットに広く使われるLiDAR(ライダー)センサーは、ガラスや鏡面などからの多重反射によって、実在しない偽の3D点「ゴースト」を生成してしまうという深刻な問題を抱えています。このゴーストは物体検出での誤検知や地図生成の崩壊を引き起こし、自動運転の安全性を根本から損なう危険性があります。

慶應義塾大学理工学研究科の吉岡健太郎准教授、五十川麻理子准教授、同大学大学院理工学研究科の池田和真(博士課程)、原涼成(修士)らの研究グループは、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社との共同研究により、ゴースト問題の解決に向けた世界最大の全波形 LiDAR データセット「Ghost-FWL」を構築しました。Ghost-FWLは屋内外10シーンにわたる2万4千フレーム・75億件のラベルを整備しており、従来の公開データセットと比較して100倍以上の規模を誇ります。

さらに、全波形データからゴーストの特徴を自律的に学習するAIモデル「FWL-MAE」とゴースト除去フレームワークを開発しました。これにより、LiDAR ベースの SLAM(自律走行の同時位置推定・地図生成)における位置推定誤差を最大84%削減し、3D物体検出の誤検知率を50分の1に低減することに成功しました。存在しない歩行者への急ブレーキや、幻の壁を避けようとする経路逸脱など、ゴーストが引き起こす危険な誤動作の抑制に大きく貢献するものです。

本研究の成果は、コンピュータビジョン分野の最高峰国際会議「CVPR 2026」に採録されました。

プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。

プレスリリース(PDF)