理化学研究所(理研)脳神経科学研究センターマーモセット神経構造研究チームの岡野栄之チームリーダー(慶應義塾大学医学部生理学教室教授)、畑純一客員研究員(東京都立大学大学院人間健康科学研究科准教授)、自然科学研究機構生命創成探究センターの中江健特任准教授らの共同研究グループは、磁気共鳴画像法(MRI)を用いて、小型霊長類であるコモンマーモセットのデジタル脳データベースを開発し、公開しました。
本研究成果は、2014年に開始された革新脳プロジェクトの中で進められてきた成果で、霊長類の高次脳機能を担うマクロレベルの神経回路全容の解明、ヒトの精神・神経疾患の克服、情報処理技術の高度化に貢献すると期待できます。
今回、共同研究グループは、健康な216頭(雄88頭、雌128頭、0.8~10.3歳)のコモンマーモセットの脳を対象にMRIの測定・解析を行い、脳科学の前臨床研究に有効なデジタル脳MRIデータベースを公開しました。このデータベースは年齢・性別・体格(体重)などの幅広い情報を含んでおり、現時点で世界最大のコモンマーモセット脳の公開データベースです。年齢・性別・体格などの要因が脳に与える影響を理解するのに役立ち、また、オープンサイエンスとして世界中の脳科学コミュニティの発展に貢献し、研究を加速させると考えられます。
本研究は、科学雑誌『 Scientific Data 』オンライン版(4月27日付:日本時間4月27日)に掲載されました。