慶應義塾大学経済学部の大久保敏弘教授は、新型コロナ感染症拡大の下での国内におけるテレワークと就業者の労働や生活、意識に関する大規模調査を、感染拡大当初の2020年4月より定期的に行ってきました。就業者1万人に対しての大規模全国調査で、NIRA総研との共同研究による「テレワークに関する就業者実態調査」の第4回目の調査となります。
調査結果によると、2021年4月1週目時点の全国のテレワーク利用率は16%(東京圏27%)となり、2020年6月以降は、ほぼ同水準で推移していることが分かりました。テレワーク利用率は、産業、所得階層などで大きく異なり、2021年4月時点のテレワーク利用率の格差は、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月よりも拡大していることも確認されました。
また、コロナ禍における仕事の効率性が通常勤務と変わらない場合を100とした場合、テレワークの場所として、自宅を利用できない人の平均は65と、自宅の部屋を利用できる人の平均の90前後よりも大幅に低く、自宅外のテレワークの場所の仕事環境に課題がある可能性が示唆されました。さらに、勤務先がワークライフバランスを重視していると答えたグループほど、コロナ禍初期にテレワークを指示・要請された、あるいは自由に選択できたと回答しており、CSRを重視している企業は、テレワークへの対応も積極的かつ機動的であったことが示唆されました。