慶應義塾大学経済学部の大久保敏弘教授は、新型コロナ感染症拡大の下での国内におけるテレワークと就業者の労働や生活、意識に関する大規模調査を、感染拡大当初の2020年4月より定期的に行ってきました。就業者1万人に対しての大規模全国調査で、NIRA総研との共同研究による「テレワークに関する就業者実態調査」の第5回目の調査となります。
第5回調査の速報結果によると、2021年9月1週目時点の全国のテレワーク利用率は17%(東京圏28%)となり、2020年6月以降はテレワーク利用率自体に変化はみられません。しかし、テレワークで働く時間は増え、ICT利用率が増加するなど、働き方の質に変化が起きていることがわかりました。他方、コミュニケーションの悪化により仕事の効率の低下につながる様子もわかりました。また、感染経験のある人は、感染経験のない人よりも、メンタルヘルスが悪く、経済的な困窮への不安を感じていることが確認されました。ワクチンの接種状況については、性別による差はみられませんでしたが、年齢が若いほど接種完了率が低く、接種しないと答えた人の割合が高いことがわかりました。さらに、自身の仕事がグリーン・ジョブに該当する人(一部が該当する人も含む)の割合は、就業者全体の31%であることがわかりました。