慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター(センター長:岡野栄之)の新井康通専任講師、平田匠特任助教(研究当時。現北海道大学大学院医学研究院社会医学分野公衆衛生学教室准教授)、広瀬信義特別招聘教授(研究当時)および、熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座尾池雄一教授、岐阜薬科大学臨床薬剤学研究室足立哲夫教授らの研究グループは、36名のスーパーセンチナリアン(110歳以上)を含む1,427名の多年代高齢者コホート研究を実施し、心血管病に関連する血液バイオマーカーと生命予後の関連を検証しました。その結果、心不全のバイオマーカーであるNT-proBNPが古典的な心血管病の危険因子と独立して長寿者の生命予後と関連することを明らかにしました。NT-proBNPは、特に105歳以降の余命と強く関連し、この分子の血中濃度が低いほど110歳以上まで到達する可能性が高いことを発見しました。また、栄養状態を反映し、高齢者の予後予測因子としても重要なアルブミン濃度が低いほど全年代の総死亡率が高くなりました。
本研究により限界寿命に迫る超長寿者の生物学的な特徴の一端が明らかにされ、高齢化によって増加が危惧される心血管病の予防や新しい治療法の開発に貢献することが期待されます。
本研究は、2020年7月30日(英国時間)に英国の科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。