慶應義塾大学医学部脳神経外科学教室の戸田正博准教授らの研究グループは、NF2の腫瘍血管が血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を高発現していることに着目し、新たな治療法であるVEGFRワクチンを開発しました。ワクチンにより活性化された細胞傷害性T細胞(CTL)は、VEGFRを発現している細胞を標的として破壊します。また、CTLは体内で持続するため、長期効果が期待されます。
この神経線維腫症2型(NF2)に対する世界初の免疫療法の臨床試験において、ペプチドワクチンの投与が終了した7例の解析を行ったところ、安全性、有効性について有望な感触を得ましたので、引き続き本試験の完遂に向けて尽力していきます。
NF2は10~20歳代での発症が多く、ほぼ全例で多数の神経系腫瘍が生じ、比較的速く進行していく希少性難治性疾患です。最も多い症状は聴神経腫瘍による難聴・めまい・ふらつき・耳鳴りなどで、その他、痙攣・半身麻痺などの重篤な症状を伴うこともあります。手術や放射線治療が行われていますが、多発する腫瘍の制御は困難で、新たな治療法の開発が求められています。
本研究成果は、2019 年12月17日(火)(日本時間)に英科学誌『Nature communications』(オンライン版)に掲載されました。
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