慶應義塾大学大学院理工学研究科の岩田悠平(博士課程3年)、理工学部物理学科の岡 朋治教授、JAXA、国立天文台からなる研究チームは、アルマ望遠鏡を使用して取得された天の川銀河中心核「いて座A*(エー・スター)」の観測データを詳細に解析し、それが放つ電波の強さを精密に測定することに成功しました。その結果、いて座A*の電波強度は、1時間以上の時間をかけてゆっくりと変化しながら、時折30分程度の短い周期的な変動(瞬き)を見せることが分かりました。この周期的な瞬きは、400万太陽質量の超巨大ブラックホールの周囲を、0.2天文単位という非常に近い軌道半径をもって周回する「ホット・スポット」に起因するものと解釈されます。本研究によって、銀河中心核超巨大ブラックホールのごく近傍で起きている現象を、電波強度の変化から描き出せる可能性が示されました。これは、一般相対論で記述される強重力場下の時空構造の理解につながる大変重要な研究成果です。
本研究成果は、4月2日発行の米国の天体物理学専門誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されました。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。