持続可能な社会の構築を目指し、ストロー廃止やレジ袋有料化など、プラスチックごみ削減についてはすでに世界的な意識改革の動きがありますが、研究や製造業の現場などでの取り組みはあまり進んでいません。慶應義塾大学理工学部生命情報学科の松原輝彦准教授、同大学理工学部機械工学科の竹村研治郎教授の研究グループは、反応溶液を空気中に浮揚させることで、ガラスやプラスチックなどの反応容器を使用せずに化学反応や生物有機合成反応を行う手法を提案しました。これまでも音響定在波の性質を利用すれば物質を空気中に捕捉(浮揚)させることは可能でしたが、本研究は浮揚させた液滴内部で効率良く高分子重合や酵素反応などが行えることを初めて明らかにしました。また容器材料が反応物と接触することがないことから、タンパク質などの生体物質の変質や有効濃度が低下するリスクを抑制することも可能になり、基礎研究および生産現場への応用が期待されます。
本研究成果は、2020年12月16日(GMT/UTC+0000)にドイツの科学雑誌「Advanced Science」のオンライン版に掲載されました。