慶應義塾大学医学部の杉浦悠毅専任講師、末松誠客員教授、静岡県立大学の杉山栄二助教(研究当時:慶應義塾大学医学部特任助教)らの研究グループは、質量分析イメージング技術を高精度化し、感情や行動の調節を担うモノアミンの量(セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン)をマウス全脳で視覚化することに成功しました。脳画像を取得する技術はさまざまですが、モノアミンを直接検出する方法で全脳マッピングした例は今回が初めてです。
作成したモノアミンの全脳地図からは、複数のモノアミン集積核が新たに同定されました。なかでも、恐怖、不安といった情動調節に深く関わる『視床室傍核』と呼ばれる神経核に、セロトニンとノルエピネフリンが極めて多く集積することが判明し、この神経核がセロトニン神経系とノルエピネフリン神経系をつなぐ重要な神経核であることが示唆されました。
今回発見された視床室傍核を含む新しいセロトニン神経回路は、精神疾患に対する新規治療薬開発のための新しい創薬標的となることが期待されます。
本研究は、2019年10月25日に米国科学雑誌『iScience』に掲載されました。
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