慶應義塾大学大学院理工学研究科の遠藤克浩(修士課程1年)、友部勝文(2018年3月博士課程修了)、および理工学部の泰岡顕治教授の研究グループは、ディープラーニングにより短時間の分子シミュレーションデータを学習することで、長時間の分子シミュレーションデータを生成可能な新規モデルを提案し、いくつかの検証実験を通してその有用性を示しました。
分子シミュレーションは、分子の動きを再現することができる手法であり、生体物質、高分子、材料等、その利用先は極めて多岐にわたり、新規材料開発や病理解明に用いられています。一方で、大きな分子や長時間のシミュレーションを行う場合は、大規模な計算リソースを必要とするため、計算が困難という欠点がありました。本研究では、人工知能(AI)の一つであるディープラーニングにより、短時間のシミュレーションデータを用意するだけで、長時間のシミュレーションデータを予測することができる新規モデルを提案しました。これによって、分子シミュレーションを用いて研究を行っている企業や研究機関は、計算しなければならないシミュレーション量を減少させることができるため、研究開発の大幅な効率化を行うことが可能となります。さらに、本提案は分子シミュレーションデータだけでなく一般的な時系列データに応用することが可能であり、自然言語処理、経済データ、モーションデータ等、様々な時系列データへの応用が期待されます。
本研究成果は2018年4月26日(現地時間)に第32回アメリカ人工知能学会(AAAI-18)のサイトにて公開されました。
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