慶應義塾大学の杉本憲彦准教授らの研究チームは、金星の大気の流れをコンピュータでシミュレーションする大気大循環モデルに観測データを同化する手法を導入し、世界で初めて金星大気大循環に対するデータ同化システムの開発に成功しました。
金星は厚い雲層によって全体を覆われており、大気内部の運動についてはほとんどわかっていません。また、大気大循環モデルを用いた大気運動の数値シミュレーションが試みられていますが、金星大気の運動を正確に再現できておらず、観測データをモデルに利用した研究はこれまでありませんでした。今回の研究では、地球の大気で用いられている観測データの同化手法を金星大気大循環モデルAFES-Venusに導入し、過去の金星探査機による観測データを取り込むことによって、開発したデータ同化システムの有用性を示しました。現在、金星探査機「あかつき」によって高解像度かつ高頻度の観測データが得られていますが、それに対して本データ同化システムを適用することにより、金星の謎の解明が革新的に進むと期待されます。
本研究の成果は、英国ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)発刊の学術雑誌 Scientific Reportsに、2017年8月24日付(英国時間)のオンライン版で公開されます。
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