慶應義塾大学医学部
慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの色本涼特任助教、新井康通教授、同大学再生医療リサーチセンターの岡野栄之教授、エーザイ・慶應義塾大学 認知症イノベーションラボ(EKID)の研究チームは、100歳以上の日本人495名を対象に、3種の血液バイオマーカー(アミロイドβ42/40比[Aβ42/40]、リン酸化タウ181[p-tau181]、ニューロフィラメント軽鎖[neurofilament light chain: NfL])と認知機能・全死亡リスク)との関連を調査しました。その結果、血中NfL高値は認知機能低下および全死亡リスクの上昇と有意に関連し、Aβ42/40やp-tau181よりも有力な指標であることが示されました。
慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターでは、30年以上にわたり百寿者研究を継続し、世界的にも稀な規模の大きい百寿者コホートを構築してきました。これまでの研究から、百寿者では重度のアルツハイマー病になる割合、アポE遺伝子4保有率が低いこと、独自の認知特性を示すことが明らかになっています。
本研究では、2000年から2021年に収集された日本人百寿者495名(平均年齢104.1歳、女性80.4%)のデータを解析し、認知機能評価(MMSE)および血液バイオマーカー測定を行い、最長17年間の予後追跡を行いました。その結果、血中NfL高値はMMSEの低さ(認知機能低下)および全死亡率の高さと有意に関連した一方、Aβ42/40やp-tau181は有意な関連を示しませんでした。
NfLは神経細胞の軸索構造の維持に関わるタンパク質で、神経障害に伴い血中で上昇することが知られています。本研究は、血中NfLが超高齢期における認知機能低下および死亡リスクを反映する有用な指標であることを示し、非侵襲的な神経変性評価法として臨床応用への展開が期待されます。
本研究成果は2026年5月7日(米国東部時間)に米国医師会発行の医学誌JAMA Network Open(オンライン版)に掲載されました。
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