慶應義塾大学大学院理工学研究科の竹川俊也(博士課程3年、日本学術振興会 特別研究員)と同理工学部物理学科の岡 朋治 教授らの研究チームは、天の川銀河の中心核「いて座A*(エー・スター)」周辺の分子ガスについて詳細な電波分光観測を行いました。その結果、いて座A*から約20光年離れた位置に異常な速度をもつ小さな分子雲を2つ発見しました。これらの特異分子雲は、膨大な運動エネルギーを持つ一方で、エネルギー源となる天体が全く見当たりません。このことから、これらの特異分子雲は、近接する伴星を持たない単独のブラックホールが巨大分子雲に高速で飛び込むことで生じたものと考えられます。このことは、多数の「野良ブラックホール」が中心核巨大ブラックホールの周りを飛び交っていることを示唆する重要な結果です。
本研究成果は、7月1日発行の米国の天体物理学専門誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されました。
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