四季のめぐりとともに常に変化し続ける風景を楽しむために、古くから現代まで、私たちは風景の在る場所に絶え間なく足を運んできました。その一方で、中世より、書物や版画、そして写真といった複製技術を用いて、動かぬ風景の諸相を再構築し、再創造する営みを続けてきました。
本展覧会は、西洋中世の写本装飾に見る風景前史から始まり、近代旅行記が伝えた異国の風景、理想風景とグランド・ツアー、ピクチャレスクの旅、葉書で送られる風景といった7つのテーマのもと、写本や稀覯本(きこうぼん)、版画や写真、絵葉書や旅の道具などの紹介を通じて、みなさんを「お持ち帰りできる風景」を巡る旅にご招待します。