本日、慶應義塾大学医学部皮膚科学教室の舩越建准教授、中村善雄専任講師らのグループが中心として行った医師主導の多施設共同治験「上皮系皮膚悪性腫瘍に対する抗PD-1抗体療法の医師主導による多施設共同第II相臨床試験」で、主要評価項目である中央判定による奏効率で有効性が示されました。その結果に基づき、オプジーボの製造販売元である小野薬品工業株式会社によって、根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍の効能または効果に対する国内製造販売承認事項の一部変更承認申請が行われました。
上皮系皮膚悪性腫瘍は、上皮系腫瘍として系統別分類される皮膚がんの総称であり、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外パジェット病、皮膚付属器がん(汗腺がん、脂腺がん、毛包がんなど)などが含まれます。国内で根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍に対する標準治療は未だ確立されていないため、薬剤の開発が切望されていました。
今回の承認申請の重要な根拠となった上記の治験は、小野薬品工業株式会社の支援により、慶應義塾大学病院を拠点とし、東北大学病院、新潟県立がんセンター新潟病院、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院、名古屋大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院、和歌山県立医科大学附属病院、独立行政法人国立病院機構九州がんセンターからなる全国8施設共同で行われました。なお、オプジーボは、厚生労働省より、2023年5月23日、根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍を効能又は効果とする希少疾病用医薬品の指定を受け、優先審査の対象となっています。