新型コロナウイルスへの対応は地方自治体に任されており、影響、対策、その効果の違いも地域によって大きくなっています。慶應義塾大学商学部の濱岡豊教授は「健康影響」「対策」「市民の協力」「経済影響」の観点から10指標を選定し、47都道府県の新型コロナウイルスへの対応状況を評価し、ランキング化しました。
総合ランキング上位には鳥取県、島根県、下位には大阪府、東京都が位置づけられました。最上位の鳥取県は「累積陽性者あたり累積検査人数」「人口あたり受入確保病床数」という「対策」についての2項目が突出しているほか、全般的に良好な状況となっていました。一方、大阪府はいずれの指標も低くなっており全体的に対策を立て直す必要があることが明らかになりました。
台湾やニュージーランドなど検査体制の強化によって、拡大を抑えることに成功している国があることは知られていますが、国内でも同様の対策を行っている鳥取県が上位にランキングされました。報道機関による「コロナ対応で評価する政治家ランキング」などでは知名度が重視されがちですが、データに基づいて実績を評価し、海外および国内での成功事例から学んで対策を進める必要があります。
本研究成果は『科学』(2021.5、岩波書店)に掲載されました。