慶應義塾大学大学院理工学研究科KiPAS数論幾何グループの平川義之輔(博士課程3年)と松村英樹(博士課程2年)は、『辺の長さが全て整数となる直角三角形と二等辺三角形の組の中には、周の長さも面積も共に等しい組が(相似を除いて)たった1組しかない』という、これまで知られていなかった定理の証明に成功しました。
線の長さや図形の面積は、私たちの身の回りにあるものを測量する際に欠かせない基本的な「幾何学」的対象です。例えば、辺の長さが3、4、5の直角三角形は教科書でもおなじみの図形ですが、辺の長さが全て「整数」となる直角三角形はどのくらいあるか?という問題は、古代ギリシャ時代に研究がなされた重要な問題でした。この流れを汲んで20世紀に大きく発展した現代数学の一分野が「数論幾何学」です。
本研究では、数論幾何学における「p進Abel積分論」と「有理点の降下法」を応用することで、冒頭の定理の証明に成功しました。高度に抽象化された現代数学において、このような身近な応用例が得られることは非常に珍しく、貴重な研究成果と言えます。
本研究成果は学術論文「A unique pair of triangles」として、米国の整数論専門誌「Journal of Number Theory」に掲載されることが決まっています(すでに2018年8月24日にarticle in pressとして電子版が出版されました)。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。