慶應義塾大学大学院理工学研究科の友部勝文(博士課程3年)、山本詠士特任助教、医学部のドゥシャン・コイッチ特任講師、安井正人教授、理工学部の佐藤洋平教授、および泰岡顕治教授の研究グループは、グルコースなどの単糖水溶液中の水分子の振動運動が、通常の水分子と比較して高速振動している現象(ブルーシフト)を実験および分子シミュレーションの双方で見出し、そのブルーシフトの分子メカニズムを世界で初めて解明しました。
水分子は、我々の体の約7割を構成する物質であることから、生物学・医学において極めて重要な分子であると言えます。本研究は、理工学部・医学部の研究者の連携により行われており、「水」という共通テーマを通して生命現象の理解に取り組んでいます。本研究では、単糖水溶液を対象とした実験および分子シミュレーションを行うことで、溶質である単糖周りの水分子が通常の水分子と比較して、高速振動していることを発見しました。さらに、このような水分子が単糖周りでどのように分布しているかを明らかにし、溶媒である水分子の振動運動と溶質との相互作用の関係解明に大きく貢献しました。これらの知見は、水分子の振動運動を通して生体分子の変化を理解することができる可能性を示しており、次世代分子センシング・診断法への応用が期待されます。
本研究成果は2017年12月22日(現地時間)に米国科学誌「Science Advances」に掲載されました。
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