戊辰戦争のさなかの慶応4年5月15日、江戸中が騒然とする中、福澤諭吉は動ずることなくいつものようにフランシス・ウェーランドの経済書に関する講義を続けました。慶應義塾では、世の中にいかなる変化があっても学問教育を尊重した福澤の精神を長く伝えるために、5月15日を「福澤先生ウェーランド経済書講述記念日」として1956年より記念講演会を開催しています。
今年は、5月15日(火)、三田演説館にて、白井さゆり総合政策学部教授により、「日本銀行・元審議委員からみた金融緩和の光と影」という演題で講演会が行われました。白井教授は日本経済の現状と先行きをアメリカやドイツと比較しながら説明し、物価の統計データと家計の物価感に大きなずれが生じていることや日銀の資産買い入れが金融市場に与える影響等について考察しました。質疑応答ではアメリカや欧州、中国の金融政策や日銀の統計に関すること等、多数の質問がなされました。
当日、演説館は立ち見がでるほどの盛況となり、聴講者は熱心に耳を傾けていました。また、講演終了後には重要文化財である演説館で記念撮影をする姿が数多く見られました。
なお、講演録は慶應義塾機関誌『三田評論』に掲載予定です。
講演概要/講師略歴等