理化学研究所(理研)生命医科学研究センターメタボローム研究チームの内野春希特別研究員、津川裕司客員研究員、有田誠チームディレクター(慶應義塾大学薬学部・薬学研究科教授)の研究チームは、生体組織内の脂質分子を包括的かつ詳細に可視化する質量分析イメージング(MSI)の新手法「SMASH imaging(Serial MAldi-ms Strategy for High-resolution imaging)」を開発しました。
本研究成果は、脂質イメージングの網羅性と構造解析の正確性を向上させ、脂質分布の空間地図(リピドームアトラス)の構築を通じて、脂質が関与する加齢・発生・神経疾患・がんなどの生命現象や、病気の解明へ貢献することが期待されます。
従来の質量分析イメージング手法では、十分な分子情報を得るためには何度もレーザー照射が必要であるため、照射によって試料が消失し、同じ場所での連続計測は困難でした。つまり、計測回数が制限されるため1枚の組織から多様な脂質分子の空間地図を描くことは困難でした。本手法は、イオンを一時的に蓄積・濃縮してから分離するイオンモビリティー技術を活用することで、従来の10分の1という少ないレーザー照射回数でも必要な分子情報を得ることを可能にしました。また、従来の分析技術で得られた脂質プロファイルの結果と比較することで、本手法で得られる脂質分布の正確性を確認しました。さらに、1枚の組織切片の同じ場所で4回から12回の連続計測を実現し、マウスの脳組織切片1枚から400種類以上の脂質分子の分布を詳細に把握することに成功しました。
本研究は、科学雑誌『Analytical Chemistry』オンライン版(3月26日付:日本時間3月27日)に
掲載されました。