RAMOFは、金属と有機分子が配位結合によって連続的につながった無数の空孔をもち、材料内に酸化還元して蓄電できる部位をもつ多孔質材料であり、電池の電極材料への応用が期待されています。しかし、RAMOFを構成する配位結合は、水、特に酸で分解されやすいことが多いため、酸性水溶液を用いた水系デバイスの材料への応用は難しいとされていました。
東北大学 多元物質科学研究所の岡 弘樹 准教授(茨城大学 カーボンリサイクルエネルギー研究センター 特命研究員 兼任)、笠井 均 教授、大窪 航平 助教、材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の西原 洋知 教授(多元物質科学研究所 兼任)、同大学院工学研究科 バイオ工学専攻の 赤井 亮太 大学院生と北嶋 奨羽 大学院生、慶應義塾大学 理工学部 応用化学科の芹澤 信幸 准教授らの共同研究チームは、酸性水溶液中でも構造が安定なUiO-66に、酸化還元活性なp-ヒドロキノンを導入したRAMOF(UiO-66-(OH)2)を合成しました。本研究では、酸性水溶液を電解液とした水系二次電池の中で、RAMOFが高い耐久性をもち、材料全体で蓄電でき、電池として使った後にUiO-66-(OH)2を温和に分解し、再使用できること(リサイクル性)を初めて実証しました。本研究は、RAMOFの、水系デバイスの材料への幅広い応用を拓くことが期待されます。
本研究成果は、2025年12月1日付けで、科学誌Nature Communicationsに掲載されました。