三菱ケミカルグループ(以下「三菱ケミカル」)、慶應義塾大学(所在地:東京都港区、塾長:伊藤 公平、以下「慶大」)および日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山口 明夫、以下「日本IBM」)は、IBM Quantum Network Hub(慶大量子コンピューティングセンター内)にて「光機能性物質のエネルギーを求めるための量子コンピューターを用いた新たな計算手法」を開発し、その論文が世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Computational Materials」に掲載されたことをお知らせいたします。
三菱ケミカル、慶大および日本IBMは、光機能性物質のエネルギーを高い精度で求めるために、[A]スピン保存量子回路の設計指針と、[B]励起状態の新しい計算方法「制約条件自動調整変分量子固有値法(VQE/AC法)」を開発しました。これら[A][B]を組み合わせ、日本初のゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」上で、フェノールブルー色素の光吸収と熱失活に関わる構造でのエネルギー計算を行った結果、基底状態・励起状態のエネルギーをわずか2kcal/molの誤差範囲で求めることに成功しました。
この研究成果は、光機能性物質の理解と設計に不可欠な基底状態・励起状態上での構造最適化への道を開くことが期待されます。
三菱ケミカル、慶大および日本IBMは、今後も、幅広い材料開発に用いるための量子コンピューターの技術確立を進めていきます。