岡山大学学術研究院自然科学学域(理・生物)の松井鉄平准教授と立教大学大学院人工知能研究科の瀧雅人准教授、生理学研究所のトラン・ファム(Trung Quang Pham)特任助教、株式会社アラヤの近添淳一主任研究員、慶應義塾大学(理工学部)の地村弘二准教授の共同研究グループは、脳活動を解読する深層神経回路の動作を直感的に説明する新しい手法を開発しました。
これらの研究成果は3月16日、スイスの神経科学雑誌「Frontiers in Neuroinformatics」のResearch Articleとして掲載されました。
MRIや脳波により計測した脳活動データから、その人が何をやっていたのかを推定する脳活動解読は、BMIへの応用を見据えて広く研究されている技術です。最近では、脳活動解読に深層学習を用いた研究が活発に行われています。しかし、深層神経回路によるデータの処理は非常に複雑で、「与えられたデータに対して解読器が何故その回答をするのか」を直感的に説明することが困難です。今回の研究では、この問題に対する新しいアプローチとして、深層生成モデルという深層学習のもう一つの技術と反実仮想説明という手法を組み合わせた手法を提案しました。
本研究成果は、認知症や精神神経疾患の脳画像診断に深層学習を応用していく際に、医師や患者がAIの動作を理解しつつ使用するための基礎技術として役立つと期待されます。