がんの発症には、加齢・喫煙・放射線暴露など様々な「環境因子」が関与することが知られていますが、各個人の「遺伝因子」、すなわち「遺伝的がんリスク体質」も重要であることが知られています。
大阪大学大学院医学系研究科の難波真一さん(博士課程)(遺伝統計学)、岡田随象 教授(遺伝統計学/理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム チームリーダー/東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学 教授)、国立がん研究センター研究所の斎藤優樹 特任研究員(分子腫瘍学分野/慶應義塾大学医学部 内科学教室(消化器) 助教)、片岡圭亮 分野長(分子腫瘍学分野/慶應義塾大学医学部内科学教室(血液)教授)らの研究グループは、ポリジェニック・リスク・スコア(PRS)という指標を用いて「遺伝的がんリスク体質」を定量化し、がんの様々な特性に与える影響を網羅的に調べました。遺伝的がんリスク体質を持つ人は、がんになりやすいだけでなく、若い年齢でがんを発症する傾向にあり、がんの特徴である体細胞異常の蓄積が少ないことがわかりました。本研究成果によって「遺伝的がんリスク体質」の理解が進み、がんの予防や個別化医を推進することに役立つと期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Cancer Research」に10月27日(木)(日本時間)に公開されました。