JST 戦略的創造研究推進事業において、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科の藤田 浩二 講師、慶應義塾大学 理工学部の杉浦 裕太 准教授らの研究グループは、非接触型センサーを用いた手指動作解析と機械学習を組み合わせることにより、頚髄症を簡便にスクリーニングする方法を開発しました。
頚髄症は、頚部で脊髄が圧迫されることで手指の動かしにくさや歩行のふらつきを引き起こす疾患ですが、初期は自覚症状が乏しいことや、専門医以外では診断が難しいことなどから、専門病院を受診し頚髄症と診断されるまでの間に症状が悪化してしまうことがあります。そのため、早期診断と早期治療につながるスクリーニングツールの開発が望まれています。
本研究グループは、頚髄症の悪化に伴って手指の動きが悪くなることに着目し、その特徴を解析しました。非接触型センサーを使って手指の動作データを記録して、機械学習により、疾患の有無を推定するプログラムを作成しました。計1分程度の簡単な手指の運動をするだけで、専門医による既存の身体診察と同等以上の精度で頚髄症の可能性を検査できます。
開発したツールにより、専門医のいない環境でも頚髄症の可能性をスクリーニングできるようになります。検査により、頚髄症が疑われる場合には専門医受診を促し、早期診断、早期治療につなげることが可能となります。最終的には、疾患の重症化による身体機能の低下、社会的損失を防ぐことを目指します。
本研究成果は2021年9月24日、「Spine」に掲載されました。