大阪大学
東京大学
慶應義塾大学
科学技術振興機構
【研究成果のポイント】
タンパク質と脂質の結合をハイスループットで解析できる新技術「CLiBアッセイ」を開発
CLiBアッセイを利用した分子進化により、脂質プローブ「PX-SnxAGV」を作製し、ストレス条件下で形成される特殊な膜脂質環境の可視化に成功
様な膜脂質環境の理解に繋がるとともに、膜脂質を標的としたAI創薬への展開に期待
大阪大学蛋白質研究所 西村多喜 教授、東京大学生産技術研究所 坪山幸太郎 講師、東京大学大学院薬学系研究科 石野雄己 特任研究員、河野望 准教授、大阪大学大学院歯学研究科 Lu Shiou-Ling 助教、野田健司 教授、慶應義塾大学大学院理工学研究科 中垣友希さん(研究当時)、山本詠士 准教授、東京大学大学院医学系研究科 水島昇 教授らの研究グループは、タンパク質と脂質の結合を調べるための新しい実験系「Cell surface Liposome Binding (CLiB)アッセイ」を開発しました。
従来、タンパク質と脂質分子の結合を調べるためには多くの実験ステップが必要で、一度に調べられるタンパク質と脂質の組み合わせはせいぜい数十通りに限られていました。CLiBアッセイは少ない実験ステップでタンパク質と脂質の結合を解析できるだけでなく、次世代シークエンス解析と組み合わせることで、数千種類のタンパク質を対象としたハイスループット解析を可能にしました。
この技術により、従来の方法では困難であった、目的に合わせた脂質プローブの戦略的な開発が可能となり、ホスファチジルイノシトールリン酸 PI(3,5)P2と強く結合する脂質プローブPX-SnxAGVを作製しました。さらに、このPX-SnxAGVをGFP融合タンパク質として細胞内に発現させ、その局在を観察することで、ストレス条件下においてPI(3,5)P2が濃縮した膜ドメインが形成される様子を可視化することに成功しました。
本研究は、CLiBアッセイによってタンパク質-脂質結合に関する大規模なデータを取得できることから、AIを用いた膜脂質を標的とした創薬への応用も見込まれ、基礎生命科学の発展だけでなく、創薬や産業への波及効果という点でも大きな可能性を秘めています。
本研究成果は、英国科学誌「Nature Cell Biology」に、7月2日(木)18時(日本時間)にオンライン公開されました。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。