慶應義塾大学医学部臨床研究推進センター生体試料研究支援部門の西原広史教授らの研究チームは、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指すために必要な唾液を用いたプール方式のPCR検査のコンセプトを発表しました。この中で、これまでに報告されたさまざまな科学的データに基づいて、PCR検査のCt値からウイルス量を推量することにより、他者への感染性を判断できる社会的PCR検査の考え方を提案しています。
本成果は、2021年3月19日(日本時間)にThe Keio Journal of Medicineに掲載されました。
また、本成果は、2020年度国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択された「COVID-19に対する唾液を用いた社会的検査体制を構築する研究」における成果です。本研究では、医療機関以外でも実施可能な簡便かつ安全性の高い検査法を確立することで、経済活動の活性化と感染抑制の両立を目指します。
本研究は、慶應義塾大学医学部が代表機関となり、楽天株式会社、日本調剤株式会社、株式会社フィリップス・ジャパン、株式会社LSIメディエンス、三菱スペース・ソフトウエア株式会社が研究協力企業として参画する体制で実施されてきました。本日より、楽天株式会社から新型コロナウイルス唾液PCR検査キットの個人向けの提供が開始され、4月12日より、日本調剤株式会社の「健康チェックステーション」併設薬局4店舗にて薬局スタッフが対面で問診や検査のフォローを行うサービスが開始する予定です。今後も、慶應義塾大学医学部は、新たな検査体制の確立に向け、研究を推進していきます。