慶應義塾大学理工学部機械工学科の三木則尚教授、同大学院理工学研究科博士課程(研究当時)の矢菅浩規(現お茶の水女子大学特別研究員、慶應義塾大学訪問研究員)、神奈川県立産業技術総合研究所研究開発部人工細胞膜システムグループ(グループリーダー:東京大学 竹内昌治教授)、スウェーデン王立工科大学 Micro and NanosystemsのWouter van der Wijngaart教授らの共同研究グループは、非混和性の流体(水と油など)の間の界面エネルギーを駆動力として利用することで、マイクロスケール(1 mmの1000分の1)の微小流体から成る3次元構造を出現させることが可能であることを報告しました。
具体的には、特定の格子構造中に非混和性の2流体を順次通過させると、微小液滴が3次元かつ周期的に生成・配列されるという現象です。この現象を用いることで、単位体積当たりに非常に大きな流体界面を有する材料を構築することが可能であり、その特性を生かしたソフトアクチュエータ材料、3次元組織状材料、およびヒト細胞のマイクロカプセル化技術を実証しました。今回発見された現象とその技術は、スマートマテリアル、フォトニック結晶、医療およびバイオミメティクスの多岐にわたる分野で利用できる新規材料開発に貢献すると期待されます。
本研究成果は、2021年3月22日(GMT/UTC+0000)に英国の科学雑誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載されました。