慶應義塾大学医学部皮膚科学教室の天谷雅行教授、山上淳専任講師(当時、現東京女子医科大学准教授)らのグループが中心として行った医師主導多施設共同治験「ステロイド治療抵抗性の天疱瘡患者を対象としたリツキシマブの医師主導によるオープンラベルシングルアーム多施設共同第II相臨床試験」に基づき、リツキシマブ(商品名:リツキサン®点滴静注100mg/500mg、以下「リツキサン」)の製造販売元である全薬工業株式会社によって薬事申請がなされ、抗CD20モノクローナル抗体のリツキサン®の天疱瘡に対する効能・効果追加が、厚生労働省によって薬事承認されました。
天疱瘡は国指定の難病であり、細胞間の接着に重要な役割をしている分子(デスモグレイン1,3)に対する自己抗体により、皮膚や粘膜に水疱、びらんを生じる自己免疫疾患です。ステロイドを中心とした従来の治療法では症状が治まらない難治例に対する治療が、積年の課題となっていました。今回の薬事承認の重要な根拠となった上記の治験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)(難治性疾患実用化研究事業)および全薬工業株式会社の支援により、慶應義塾大学病院を拠点とし、国立大学法人北海道大学病院、岡山大学病院、久留米大学医学部附属病院からなる全国4施設共同で行われました。今回の薬事承認により、天疱瘡難治例に対する治療選択肢が大きく広がり、寛解導入率が向上することが期待されます。