慶應義塾大学大学院理工学研究科の藤井瞬(博士課程3年、日本学術振興会特別研究員DC1)と同理工学部電気情報工学科田邉孝純教授らの研究グループは、同理工学部システムデザイン工学科柿沼康弘教授らと共同で、超精密切削加工のみを用いて微小光学素子を製作し、トップダウンの手法で作製した単結晶微小光共振器として世界最高の光学性能(Q値1.4億)を達成しました。
微小光共振器(マイクロ光共振器)は光を微小領域に閉じ込めることで光と物質の相互作用を引き出すことから、光周波数コム発生や高感度センシング、量子光学応用に用いられ、世界中で盛んに研究開発が進められています。高い光閉じ込め性能(Q値)を得るのに適したフッ化物系結晶で作る光共振器では、半導体プロセシングで用いられるような従来のナノ加工技術を用いることができないため、これまでは限られた形状の素子を研磨で作製するしかありませんでした。本研究では超精密機械加工技術をナノフォトニクス素子作製に適用することで、従来ではなしえなかった単結晶微小光共振器の高Q値と精密な構造設計を両立させました。
本研究成果は2020年6月11日(日本時間)に、アメリカ光学会(OSA)の学術誌Opticaにて公開されます。
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