慶應義塾大学大学院理工学研究科の栗宗勇貴(当時修士課程2年)と理工学部の能崎幸雄教授、中国科学院大学カブリ理論科学研究所の松尾衛准教授は、磁石に音波を注入すると、磁気回転効果により、磁気の波「スピン波」が発生することを発見しました。
磁気回転効果は、物質の磁気の源が電子の回転運動であることを示す歴史的にも重要な現象ですが、その効果はとても小さく、物質の磁気制御が不可欠なスピンデバイスへの応用が不可能とされていました。
本研究グループは、膜厚が20ナノメートルの薄膜ニッケル鉄合金磁石を作製し、固体表面を伝搬しながら結晶格子点を1秒間に10億回以上回転させる音波を注入することにより、磁気回転効果に由来するスピン波が発生することを発見しました。
本研究は、音波が巨大な磁気回転効果を生み出すことを世界で初めて実証したものであり、これまで不可能だった磁気回転効果のスピンデバイス応用に大きく道を拓くことが期待されます。
本研究成果は、2020年5月27日(米国東部時間)発行の米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版で公開されました。
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