慶應義塾大学大学院理工学研究科の立野翔真(修士課程1年)と理工学部の能崎幸雄教授は、磁石と半導体を組み合わせた複合材料において、音波の注入方向と磁気の向きにより、磁気の波「スピン波」の振幅を大きく変調できることを発見しました。
従来の方法では、磁石をナノメートルスケールの厚さにすると順方向と逆方向に伝搬するスピン波の振幅が同等になり、スピン波の整流動作を実現することが困難でした。
本研究グループは、膜厚が20ナノメートルの薄膜ニッケル磁石と400ナノメートルの半導体シリコンを組み合わせたニッケル/シリコン複合材料(複合材料)を作製し、逆方向のスピン波振幅を順方向の12分の1以下に低減できることを明らかにしました。
本研究でスピン波の巨大な一方通行性が実証された新しい複合材料によって、スピン波の伝搬と干渉を論理演算に利用するスピン波デバイスの実現に不可欠なスピン波ダイオード開発が大きく前進することが期待されます。
本研究成果は、2020年3月31日(米国東部時間)発行の米国物理学会誌「Physical Review Applied」のオンライン版で公開されました。
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