国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)中央病院の藤原康弘副院長(当時)[現 医薬品医療機器総合機構 理事長]、田村研治 乳腺・腫瘍内科長、慶應義塾大学医学部 谷川原祐介 臨床薬剤学教室教授、今村知世 同講師(当時)[現 昭和大学先端がん治療研究所准教授]、国立研究開発法人理化学研究所 莚田泰誠 ファーマコゲノミクス研究チームリーダーらの研究グループは、全国54施設との共同で、乳がんタモキシフェン療法における遺伝子型に基づく個別化治療の有効性について世界初の前向き無作為化比較試験を実施しました。その結果、タモキシフェンを体内で活性化する酵素CYP2D6の低活性遺伝子型を有する患者に対して、タモキシフェン増量による治療効果の向上は認めず、遺伝子型に基づく用量個別化は不要との結論に達しました。
CYP2D6低活性遺伝子保有者割合には民族差があり、日本人では約7割に及びます。低活性の場合、現状のタモキシフェン内服量で十分、または不十分など、相反する研究結果がこれまで多数の後ろ向き研究で示されるものの結論は出ていませんでした。日本人への影響が大きいこの議論について、本研究チームはより高いエビデンスを得られる前向き研究で調査し、世界に向けて発信することができました。
本研究成果は、米国臨床腫瘍学会機関誌「Journal of Clinical Oncology」に2月20日付で発表され、さらに同誌「Editorials」でも前向き臨床試験によるよりハイレベルのエビデンスとして取り上げられました。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。