慶應義塾大学文学部心理学研究室および慶應義塾大学赤ちゃんラボの内田真理子研究員、皆川泰代教授、慶應義塾大学医学部小児科学教室の有光威志助教、高橋孝雄教授ら、中央大学、首都大学東京の研究グループは、生後2-7日の新生児が母親の語りかけを聞くことで前頭部-側頭部の脳機能結合を強めることを見出しました。特に左脳前後の言語回路や右脳前後の声の認識に関わる回路、つまりコミュニケ―ション機能に関わる回路が強まっていました。
これまでに新生児でも音声に対して言語野の一部が活性化することは知られていましたが、言語回路の結合は確認されていませんでした。他者の声でなく、母親の声という胎児期に頻繁に聞いた音声で言語野がより強く活性化し、さらには言語回路の結合が強くなることを世界で初めて報告しました。
これらの成果は、未発達と考えられていた新生児の音声言語処理における前頭前野機能が比較的成熟している点、特定の養育者の語りかけが乳児の言語や社会性の発達を促すことを脳科学的に示した点に意義があります。
本研究成果は「Developmental Cognitive Neuroscience」に掲載予定で、オンライン版では2019年8月8日に公開されました。
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