慶應義塾大学理工学部の古川良明准教授、徳田栄一助教(研究当時。現・日本大学薬学部専任講師)、大学院理工学研究科の安齋樹(2019年博士後期課程修了)らは、慶應義塾大学薬学部の三澤日出巳教授、自然科学研究機構分子科学研究所の秋山修志教授らとの共同研究で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関わる銅・亜鉛イオン結合タンパク質SOD1について、その立体構造が異常化する新たなメカニズムを提唱しました。SOD1をコードする遺伝子に変異が生じると、異常な立体構造をしたSOD1が運動ニューロンに蓄積し、ALSを発症させることが提案されています。SOD1の構造がどのようなきっかけで異常化するかはまだ明確ではありませんが、酸化されたSOD1から銅・亜鉛イオンが解離すると、毒性を有した異常構造に変化することを見出しました。多くのALS患者では酸化ストレスの増大と金属イオン動態の異常化が報告されていることからも、本研究における提案は、SOD1が関与するALSの発症メカニズムを考える上で重要です。
これらの研究成果は文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究「生命金属科学」および慶應義塾基軸プロジェクト推進プログラム塾内助成などの支援のもとに得られたもので、国際科学誌Free Radical Biology and Medicineに、2019年12月19日にオンライン版で発表されました。
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