慶應義塾大学大学院理工学研究科の辻本志保(修士課程2年)および理工学部物理学科の岡朋治教授を中心とする研究チームは、太陽系から約3万光年の距離にある天の川銀河の中心部において、一つの異常に広い速度幅を有する特異分子雲を発見しました。特異分子雲の大きさは約50光年で、内部に少なくとも5つの膨張する球殻状の構造を含んでいます。これは約10万年前にここで起きた大爆発の証拠と考えられます。爆発のエネルギーは超新星爆発約10個分に相当し、ここには数十万太陽質量の超巨大星団が潜んでいると推測されます。このような銀河中心部の巨大星団の中では、恒星やブラックホールが合体を繰り返すことによって、「中質量」のブラックホールが形成されると考えられています。今回見つかった超巨大星団は、そのような中質量ブラックホールの「ゆりかご」の候補と考えられ、これは2012年に同チームによって発見された星団に次いで、天の川銀河で2例目の発見となります。
本研究成果は、3月28日発行の米国の科学専門誌『The Astrophysical Journal』に掲載されました。
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