慶應義塾大学理工学部の津田裕之教授、久保亮吾准教授らの研究グループは、パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社、光伸光学工業株式会社、株式会社オプトクエストと共同で、TバンドとOバンドの約80 THzに及ぶ広大な波長資源を活用できる波長ルーティングシステムの実証実験に成功しました。
光通信におけるTバンドは1000~1260 nmの波長帯のことであり、光ファイバ伝送で主に用いられているCバンド(1530~1565 nm)やLバンド(1565~1625 nm)と比較して伝送損失が大きく長距離伝送が難しいため、これまで通信用途には用いられてきませんでした。近年の通信トラフィックの増加に伴い、特にデータセンタ内ネットワークやLAN(Local Area Network)など数キロメートル以下の光通信において、大容量かつ大規模な波長ルーティングシステムの需要が急速に高まっています。本研究では、Tバンドおよび隣接するOバンド(1260~1360 nm)で動作可能な量子ドットゲインチップ、波長可変光源、半導体光増幅器、アレイ導波路回折格子を開発し、それらを用いて1000以上の波長チャネルを収容可能な大規模波長ルーティングシステムが構築可能であることを実証しました。
本研究成果は、2018年3月15日(現地時間)に米国・サンディエゴにおいて開催された国際会議「The Optical Networking and Communication Conference & Exhibition(OFC 2018)」で発表されました。
プレスリリース全文は、以下をご覧下さい。