慶應義塾大学大学院理工学研究科の柴田浩章(修士課程2年)、理工学部物理学科岡野真人専任講師および渡邉紳一准教授の研究グループは、2つの連続する光パルスを用いることで金属強磁性体薄膜中のスピン歳差運動を超高速制御することに成功しました。
現在、スピン波を新しい情報伝達媒体として活用するための研究が盛んに行われています。特に、磁気デバイス材料として有力な金属強磁性体中におけるスピン波の超高速制御法の確立は実用上重要です。スピン波の伝搬を制御するためには、局所的なスピン歳差運動を制御する必要があります。今回、2つの光パルスを、その照射時間間隔を変えながら金属強磁性体薄膜試料に照射することで、スピン歳差運動の振幅の制御に成功しました。この実験結果は数値シミュレーションによってよく再現され、スピン歳差運動の制御機構を明瞭に説明することができました。今後は、光パルスによるスピン歳差運動の制御性を活かしたスピン波伝搬の超高速制御が期待されます。
本研究成果は、2018年1月31日(現地時間)に『Physical Review B』で公開されました。
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