【ポイント】
・骨格で支えられた人工細胞の形成に成功しました。
・骨格により耐久性が向上した人工細胞は、医薬品や化粧品への応用が期待されます。
東京農工大学大学院工学研究院先端物理工学部門の柳澤実穂テニュアトラック特任准教授、大学院生の黒川知加子、東京工業大学情報理工学院情報工学系の瀧ノ上正浩准教授ら、慶應義塾大学理工学部生命情報学科の藤原慶専任講師、東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻の村田智教授らのグループは、人工的に創られた細胞モデル(リポソーム、もしくは人工細胞)に骨格を持たせ、現実の細胞並みに硬くすることに成功しました。我々の体を構成する細胞は、細胞骨格と呼ばれるネットワーク構造により非常に安定になっています。リポソームは薬の輸送用カプセルや化粧品の材料として使われてきましたが、細胞骨格のような構造が無いため、わずかな刺激により壊れてしまう問題がありました。今回、DNAナノテクノロジーと呼ばれる技術によって人工的な細胞骨格を作製し、リポソームに付与しました。この人工細胞骨格を持つリポソームは、従来の骨格を持たないリポソームが壊れてしまうような刺激に対しても崩壊せず、その形を維持しました。リポソームの耐久性を高めることは、薬用カプセルや化粧品などへ応用する上での最も大きな課題でしたが、今回の成果によりこの問題が克服される可能性があります。
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