このたび慶應義塾大学医学部内科学(消化器)佐藤俊朗准教授らは、大腸がんの増殖を司る“がん幹細胞”の詳細な機能の解析と、がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功しました。
“がん幹細胞”は、がん組織の中に少数存在し、再発や転移の原動力となると考えられ、臨床的意義の大きさから長年研究の対象とされてきました。しかしその詳細な機能は未だ解明されていません。佐藤准教授らは、これまでにヒトの大腸がんを培養し、マウス生体内でがんを再構築する技術を開発しています。本研究ではこの技術にゲノム編集技術を応用し、特定のヒト大腸がん細胞の動態をマウス生体内で観察する技術を開発しました。これにより、大腸がんの幹細胞の同定とその生体内での機能解析に成功しました。また、大腸がん幹細胞を標的とした治療モデルを開発し、既存のがん治療薬と組み合わせた場合にのみ、腫瘍が著明に縮小することをマウス実験で確認しました。この成果は、今後の大腸がんの根治を目指したがん幹細胞機能の解明と、新規創薬への確かな道筋となります。
この研究成果は、2017年3月30日英国科学誌「Nature」に掲載されました。
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