5月28日、三田キャンパスにて、伊藤公平塾長の就任(重任)に際し、報道関係者を対象としたメディア懇談会を開催しました。本懇談会は、塾長による今後の抱負および慶應義塾の中長期的なビジョンを共有するとともに、義塾の現在の取り組みについて広く発信、意見交換することを目的として開催されました。
当日は、新聞社や雑誌編集部などから多くのメディア関係者が参加。伊藤塾長が、就任にあたっての抱負や、学生一人ひとりが社会に出る前の時間を使って徹底的に学び、挑戦できる自由な環境づくりへの意志を表明しました。さらに、世界的な課題となっているAI教育・研究への分野横断的な取り組みや、WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)、COI-NEXT(共創の場形成支援プログラム)といった国の研究支援制度を活用した今後の展望も語られました。
また、米国におけるハーバード大学の留学生受け入れ制限措置に対する見解について、明治時代の官立大学政策により経営窮地に立たされた義塾の経験に触れ、大学にとって最も残念なことは大学から学生が去ることであると述べました。そのため、政府と戦うハーバード大学と同大学での研究を続けたい学生を応援するとし、学生からの個別の相談や大学から直接要請があった場合は支援する姿勢が示されました。
続いて登壇した北川雄光常任理事からは、医学部初代学部長の北里柴三郎による教育理念の紹介や医学部、看護医療学部、薬学部の医療系3学部が連携する取り組み等について説明があり、医学教育や医療政策に関する課題と展望が共有されました。さらに、少子高齢化が進む中、医学は生命科学だけでなく人文・社会科学的にも考えていく領域となっていることにも触れ、予防医療やスタートアップ支援の継続的な取り組みの抱負を述べました。
懇談会では、参加したメディアから多くの質問が寄せられ、活発な意見交換の場となりました。今後も慶應義塾は、こうした対話の機会を通じて、教育・研究・医療における取り組みを広く発信していく所存です。
また、慶應義塾は、2033年の創立175年に向けたグランドデザインの策定を進めており、今後その構想を段階的に明らかにしながら、義塾だけではなく日本や世界全体の次世代の人材育成と学術発展を視野に取り組みを推進してまいります。