4月21日、慶應義塾大学は三田キャンパスにおいて、オランダのディック・スホーフ首相による「The Netherlands and Japan: the future of a historical partnership in times of global upheaval」と題した講演会を開催しました。当日は、オランダ政府の代表団、駐日オランダ大使、駐オランダ日本大使などの大使館関係者のほか、慶應義塾からは伊藤公平塾長をはじめ、多くの学生・教職員が参加しました。
伊藤塾長は開会挨拶でスホーフ首相の来塾を歓迎し、日本と西洋の学問の懸け橋となってきたオランダと我が国の深い歴史的なつながりが、蘭学塾を祖とする慶應義塾の開設をもたらすきっかけとなったことや、義塾が現在、オランダを代表する数多くの大学と活発な学術交流連携を構築していることなどを紹介しました。
講演を行ったスホーフ首相は、今や地球上のあらゆるものは相互につながっており、400年以上続く日蘭交流の中心をなしてきた経済・通商も例外ではないと述べました。そのうえで、地政学的変化を踏まえつつ、経済の安全保障やレジリエンスを推進する必要性を訴えました。また、自由、正義、民主主義といった普遍的価値を守り、ハイテク・生命科学分野の発展、食料安全保障、エネルギー移行などの世界の共通課題に取り組むためには、国家間および人と人の緊密な連携が不可欠であると述べました。締めくくりに、福澤諭吉の思想や精神が今もたしかに息づく日本とオランダの協力関係の一層強化すべく、学生たちの今後の活躍に対する力強いエールが送られました。
細谷雄一法学部教授をモデレーターに迎えたスホーフ首相と学生の対話では、世界の新たな政治的・経済的秩序への欧州の対応、欧州と日本の今後の連携のあり方、欧州圏内の人口移動、気候変動に即したオランダの農業技術の世界的展開、さらには開催中の大阪・関西万博への感想など、多岐にわたる内容に関して意見交換が行われました。