4月9日、慶應義塾大学は三田キャンパスにNATO(北大西洋条約機構)のマルク・ルッテ事務総長を迎え、「NATO and Japan – Strong Partnerships in an Interconnected World」と題した講演会を開催しました。会場には、NATO本部、駐日ノルウェー大使館、駐日ルーマニア大使館関係者をはじめ、ヨーロッパを中心とするさまざまな国の駐日大使や大使館関係者が集まりました。慶應義塾からは土屋大洋常任理事のほか、多くの学生・教職員などが参加しました。
慶應義塾を代表し開会の挨拶を行った土屋常任理事は冒頭で、オランダの首相として来塾以来、約10年ぶりとなるルッテ氏の再訪を歓迎しました。また、福澤諭吉が開設した蘭学塾を起源とする慶應義塾とオランダの深い歴史的なつながりや、国際情勢における過去10年間の変化、東アジアの安全保障などにも言及し、スピーチを行うルッテ氏にバトンを渡しました。
講演を行ったルッテ事務総長は、世界で起きている紛争や対立は、特定の国や地域のみならず今や地球規模の問題であること、平和は獲得するだけでなく、維持に向けた取り組みが重要であると述べました。また、NATOと日本は技術開発・イノベーション推進の分野で、将来のリーダーの育成も含めて協力することで、共通の利益と価値を守り、世界の安定に貢献し得る可能性があるという考えを示しました。
引き続いて、細谷法学部教授をモデレーターに、ルッテ事務総長と参加者との対話が行われました。ウクライナ情勢や米国の新たな国家安全保障戦略がもたらす影響を踏まえたアジアやヨーロッパ諸国とNATOとの連携のあり方や、目まぐるしく変容する社会において日本が果たすべき役割についてなど、幅広いテーマに関する意見交換が行われました。