12月2日、慶應義塾大学と延世大学の共催により、Yonsei-Keio Public Seminarが三田キャンパス東館 G-Lab にて行われました。
本セミナーでは「Humanities at Risk?」をテーマに、AI時代の到来がもたらす「人間らしさ」の再定義の必要性、人材育成を担う大学の教育研究における課題や高等教育の将来像などについて、人文科学の視点から活発な議論が展開されました。
開会にあたり、伊藤公平塾長と延世大学の Dong-Sup Yoon 学長は挨拶の中で、両大学が長年にわたり構築してきた強力なパートナーシップを歓迎し、本セミナーでの研究者および参加者を交えた意義深い対話が両校の更なる連携に繋がることへの期待を表明しました。
基調講演では、原田範行文学部教授(兼大学院文学研究科委員長)が人文科学の主要な研究対象のひとつである言語に焦点を当て、言葉が持つ曖昧性は人間の思索の深さや個性の反映であり、教育や社会に多様性を生み出す源泉でもあること、人間の資質を育むうえでは結果ではなく、プロセスにより比重を置くべきであると述べるなど、AIの特性と対比させながら今後の大学教育のあり方について提言を行いました。
続くパネルディスカッションには、延世大学からHye Joon Yoon教授(Department of English)、Nam Ju Kim准教授(Department of Education)、本学からは徳永聡子文学部教授、石井明経済学部教授が登壇し、AIにより情報が氾濫し、情報を容易に獲得できる環境に置かれている今日の学生への向き合い方や、好奇心を持つこと、実体験を積むこと、答えのない人間社会の本質的な問いに対し議論を重ねていくことの重要性など、「人間とは何か」について、教育者、専門家の立場から討論が繰り広げられました。
※延世大学は慶應義塾大学の学生交換協定校であり、本学が令和5年度に採択された「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の参画機関のひとつです。