11月27日(木)および28日(金)の2日間にわたり、慶應義塾大学三田キャンパスにて、ICCアジア太平洋学術フォーラム(ICC Asia-Pacific Academic Forum)が開催されました。本フォーラムは、国際刑事裁判所(International Criminal Court: ICC)と、MoU(基本合意書)を通じてパートナーシップを締結しているアジア太平洋地域10大学が一堂に会する初の試みであり、国際刑事司法における地域連携強化に向けた重要な一歩となりました。
慶應義塾大学とICCは、2004年以降、法学部、法学研究科、法務研究科を中心に研究・教育上の交流がありました。この長年の交流が結実し、両者は2024年6月にMoUを締結しています。日本はICCの最大の分担金拠出国でありながら、ICCにおける日本人スタッフやインターンが極めて少ないというアンバランスな現状があります。本MoUは、日本の大学、特に慶應義塾大学から優秀な人材にインターンの機会を提供することでこのアンバランスを解消し、将来的には国際刑事司法や国際機関でより多くの日本人が活躍できる機会の拡大につながるものと期待され、締結されました。
フォーラムでは、現在ICCと連携しているアジア太平洋地域の大学が対面で集まり、ICCへの学術的な理解の促進と、この地域における将来の学術協力の道筋について議論しました。27日のオープニングセッションには赤根智子ICC所長がビデオメッセージを寄せた他、ジャン=エリック・パケ駐日欧州連合(EU)特命全権大使、ヒルス・ベスホー・プルッフ駐日オランダ王国特命全権大使、クリスチャン・マールICC対外関係局長、伊藤公平慶應義塾長、オステン・フィリップ慶應義塾大学法学部教授が登壇し、昨今のICCが直面する危機的状況において、国や地域を超えて国際司法の一翼を担う本枠組みの重要性が語られました。伊藤塾長は、慶應義塾大学の学生に向けに昨年おこなわれた赤根所長の講演にも触れ、アカデミアが真実を追求することや、ICCへの支援の重要性を強調しました。
この開かれた学術交流の場をきっかけに、今後、国際刑事裁判所の任務に関する対話が促進され、国際刑事司法の発展に向けた地域的関与が強化されることが期待されます。