慶應義塾の新年は、1月10日に社中一同で創立者・福澤諭吉の誕生日を祝うことから始まります。本年も1月10日(金)、「第190回福澤先生誕生記念会」を三田キャンパス西校舎ホールにて開催しました。
式典は、幼稚舎生と横浜初等部生による「福澤諭吉ここに在り」合唱、ワグネル・ソサィエティー男声合唱団による「日本の誇」合唱から始まり、続けて伊藤公平塾長による年頭挨拶が述べられました。年頭挨拶で伊藤塾長は、福澤諭吉が激動の時代に日本社会が正しい方向に向かうよう、批判を覚悟の上でその時に最も相応しいと思うことを、信念をもって発信し続けたことを例にあげながら、慶應義塾が力を合わせて日本の高等教育を変革していく力強い決意を示しました。
続いて、杉山伸也慶應義塾大学名誉教授による記念講演「福澤諭吉『民情一新』と「文明の利器」」が行われました。講演の中で杉山名誉教授は、『民情一新』(1879年)を科学技術の発展を重要視する福澤の思想が書かれた新しい文明論であると紹介しました。『文明論之概略』(1875年)で示された無形の「文明の精神」の醸成を重要視する考えから、有形の「文明の利器」、つまり科学技術を重要視する、福澤の思想の転換点になった著作として『民情一新』の重要性を語る内容に、参加者は興味深く耳を傾けていました。
講演後は、福澤達雄君が福澤家を代表して挨拶に立ちました。続いて、慶應義塾大学主催「小泉信三賞全国高校生小論文コンテスト」表彰状授与が行われ、最後に塾歌を斉唱しました。
式典終了後は、生協食堂にて新年名刺交換会が行われました。また、参加者が慶應義塾ミュージアム・コモンズの新春展2025「へびの憩う空き地」、福澤諭吉記念 慶應義塾史展示館の「慶應義塾福澤研究センター新収資料展2025」に足を運ぶ様子も見られ、慶應義塾ならではの新春にふさわしい晴天の一日となりました。